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問題、?C現行の大都市特例の射程外の問題である。
?@は、指定都市制度が基礎自治体に特例を上乗せしている制度である以上、当然生じてくる問題である、すでに地方分権推進委員会で議論され、中間報告や第1次勧告で指摘されているため、ここで多くを再論する必要はないが、明日都市懇報告書では、そのような共通課題を4つに区分して指摘している5)。第1が「国の施策の後追いによる弊害」であり、これは国の施策が現場の後追いである反面、市の権限・裁量権の不足によって市民ニーズに応えられないという問題である。このことの具体例としては、都市計画法において、都市計画決定の主要部分を「知事決定」で占有し、残る「市町村決定」も一部をのぞき知事の承認が必要であり、また市町村施行の都市計画事業も知事認可が必要という制度の問題性を指摘している。すなわち、このため行政と市民の協働型のまちづくりが地域において活発になり、事業の具体化や都市計画決定に向けての取組みを進めるにしても、地域の自己決定による都市計画決定という時代の方向に法制度が追いついていないという問題が生じることになる。こうしたことには、親水性のある空間づくりのための河川敷利用のニーズに対して、河川法では1級・2級河川の管理権限が市にないこと、さらに鉄道事業に対する監督権が市にないため、福祉の観点から鉄道駅舎の整備を進める際に障害となるといったことも含まれるという。
第2が「国の全国画一的な規制・指導の弊害」で、たとえば、都市計画法、建築基準法、道路法、土地区画整理法といった都市基盤整備関係の法による国基準の全国一律性と国庫補助金の基準の一律性が「ミニマム思想」に立脚しているため、景観づくりや施設建設における「都市の個性」を阻害することになる、第3の「国のタテ割・個別化の弊害」も第2の弊害と同じく、景観づくりや施設建設において顕著にみられ、景観づくりでは、建築基準法、道路法、河川法、都市公園法、都市緑地保全法、文化財保護法などが横につながっておらず総合性が確保されていないこと、また国庫補助金の交付基準における設備の義務づけなどのタテ割り性が、多目的・複合施設の建設の障害となることを指摘する。
第4は「自立的な行財政運営を阻む国の厳しい規制・制約」であり、第1から第3までの問題も含んでいるが、そのほかにも第三セクターへの自治体職員の派遣にかかわる地方公務員法上の統制、税源配分、標準税率制度、地方債許可制度、地方交付税制度、国庫補助金制度といった税財政面における統制などの問題が存在する。
このような一般市町村と共通した制度課題を、とりたてて大都市問題ととらえることの理由は、大都市の自治体としての「活動量」6)の多さとそれを支える政策遂行能力の高さ

 

 

 

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